アフターピル服用後に出血(消退出血)がこない…妊娠の可能性や対処方法を解説
「アフターピルを飲んだのに消退出血が来ない」「妊娠してしまったのでは」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
消退出血は避妊が成功したサインのひとつとして知られていますが、全員に起こるわけではありません。
ノルレボの添付文書によると、消退出血が見られるのは服用者の約46%程度とされています。
消退出血がなくても通常の生理が来れば避妊は成功していると考えられるため、出血がないからといって必ずしも妊娠しているとは限りません。
本記事ではアフターピル服用後の出血状況別の妊娠の可能性、消退出血が来ない理由、生理や着床出血との違いについて詳しく解説していきます。
消退出血が来なくて不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
出血状況別|アフターピル服用後の妊娠の可能性と対処法
アフターピル服用後の出血状況によって、妊娠の可能性や対処法は異なります。
消退出血がなくても避妊に成功しているケースは多くありますが、状況によっては妊娠検査が必要な場合もあります。
WHOやCDC(米国疾病予防管理センター)のガイドラインでは、アフターピル服用から3週間後に妊娠検査を行うことが推奨されています。
特に月経が1週間以上遅れた場合や、出血が軽微・不正な場合には早めの妊娠検査が必要です。
ここでは出血状況別の妊娠の可能性と対処法について詳しく解説していきます。
①アフターピル服用後3〜7日以内に消退出血があった
アフターピル服用後3〜7日以内に消退出血があった場合は、避妊が成功した可能性が高いと考えられます。
消退出血はアフターピルに含まれるホルモン成分の影響で子宮内膜が剥がれ落ちることで起こる出血です。
この出血が見られた後、次の月経が予定通りに来れば避妊成功と考えてよく、妊娠検査は基本的に不要でしょう。
ただし次の月経が1週間以上遅れた場合や、出血量が明らかに少ない場合は妊娠検査を行うことをおすすめします。
妊娠検査はアフターピル服用から3週間後に行うと精度が高いとされています。
消退出血があっても妊娠していない保証にはならないため、不安が残る場合は検査で確認すると安心できるでしょう。
②消退出血はなかったが、通常通りの月経が来た(予定前後±7日以内)
消退出血がなくても、通常通りの月経が予定日前後(±7日以内)に来た場合は避妊成功と考えてよいでしょう。
出血量や日数も普段と同じであれば、妊娠検査は基本的に不要です。
消退出血は全員に起こるわけではなく、約半数の方は消退出血がないまま通常の生理が来るとされています。
排卵後のタイミングでアフターピルを服用した場合は、消退出血と生理が一度に来て区別がつかないこともあります。
ただし月経が非常に軽い場合や不規則な出血のみの場合は、妊娠の可能性があるため服用から3週間後に検査を行うことをおすすめします。
出血があっても着床出血の可能性もあるため、出血の有無だけで妊娠の成否を判断しないことが大切です。
③消退出血なし&月経も来ない(服用から3週間以上経過)
消退出血も月経も来ないまま服用から3週間以上経過した場合は、妊娠検査を必ず実施してください。
WHOやCDCのガイドラインでも、アフターピル服用後3週間経っても月経がなければ妊娠検査を行うことを推奨しています。
妊娠検査薬で陽性が出た場合は、早めに産婦人科を受診して詳しい検査を受けましょう。
陰性だったがさらに1週間経っても月経が来ない場合は、再度検査を行うことをおすすめします。
アフターピルはホルモンバランスを変化させるお薬のため、月経遅延は一般的な副作用として知られています。
月経が遅れても避妊失敗とは限りませんが、3週間を超える遅延は妊娠検査で確認することが重要です。
④不正出血が長く続く(1週間以上or繰り返す)
不正出血が1週間以上続く場合や、繰り返し出血がある場合は産婦人科を受診することをおすすめします。
アフターピル服用後は子宮内の変化やホルモンバランスの乱れによって不正出血が起こることがあります。
通常は数日でおさまることが多いですが、長引く場合は他の原因が隠れている可能性も考えられます。
子宮内膜ポリープや子宮筋腫、感染症などの疾患が原因で出血が続いていることもあるでしょう。
大量の出血が続く場合は子宮出血の可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。
不安を抱えたまま過ごすよりも、専門家に相談することで安心を得られます。
アフターピル服用後の「消退出血」はいつ起こるのか
消退出血はアフターピル服用後、遅くとも2週間以内に起こり、2〜3日間続くことが多いとされています。
レボノルゲストレル錠(ノルレボなど)では、服用から約3〜7日後に消退出血が始まるケースが多いです。
緊急避妊法の適正使用に関する指針では、服用後概ね21日以内に消退出血が起こると報告されています。
ただし消退出血が起こるのは服用者の約46%程度であり、そもそも消退出血が起きない方もいます。
消退出血はお薬を飲むことで薄くなった子宮内膜が急に剥がれて起こる少量の出血です。
これが起こると避妊に成功した可能性は高いですが、起こらない場合でも避妊に失敗したというわけではありません。
月経予定日の前後に月経だと判断できる十分な出血があれば、避妊に成功したといえるでしょう。
消退出血後の生理はいつ?生理がくるタイミング
消退出血と次の生理は別物であり、消退出血後に通常の生理が来ることになります。
アフターピル服用後の生理は予定日から数日〜1週間程度ずれることがあります。
研究によると、70〜90%の女性でアフターピル服用後の生理が3〜7日早まるか遅れるとされています。
アフターピルはホルモンを強制的に変化させるお薬のため、通常の排卵・月経周期を大きくずらすことがあります。
「元の月経予定日」は参考にならないことが多く、服用日を起点に判断するのがよいでしょう。
月経遅延は一般的な副作用であり、月経が遅れても避妊失敗とは限りません。
ただし服用から3週間を超えても月経が来ない場合は、妊娠検査を行うことが推奨されています。
アフターピル服用後に生理予定日を過ぎた|1ヶ月こない場合
生理予定日を過ぎても1ヶ月近く生理が来ない場合は、妊娠検査を行う必要があります。
CDCやWHOの推奨では、生理予定日とは関係なくアフターピル服用後3週間経っても月経がなければ妊娠検査を実施するよう推奨しています。
アフターピル使用時はホルモンの影響で生理が遅れやすいため、検査での確認がより重要になります。
妊娠検査は服用から21日後以降に行うと精度が高いとされています。
検査で陰性だった場合はホルモンバランスの乱れによる月経遅延の可能性が高いですが、1週間後に再検査することをおすすめします。
それでも月経が来ない状態が続く場合は、産婦人科を受診して原因を調べてもらいましょう。
アフターピル服用後に二回目の生理がこない場合
アフターピル服用後、1回目の生理は来たものの2回目の生理が来ない場合はいくつかの可能性を考える必要があります。
①妊娠の可能性を再評価する
1回目の生理が本当に月経だったか(消退出血でなかったか)を再確認してください。
その後に避妊せずに性行為があったかどうかも考慮し、可能性がある場合は再度妊娠検査を実施しましょう。
②ホルモンバランスの乱れを疑う
アフターピルは高用量のホルモン剤であり、服用後1〜2ヶ月は月経周期が乱れることがあります。
特に元々不規則な月経だった方や、強いストレス・体重変動がある方に起こりやすいです。
妊娠検査が陰性であれば、3ヶ月ほどは経過観察でも問題ない場合が多いでしょう。
③3ヶ月以上無月経が続く場合
無月経が3ヶ月以上続くと子宮内膜の肥厚や女性ホルモン不足のリスクが出てきます。
子宮内膜ポリープやPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)など別の疾患の可能性も考慮し、産婦人科で検査を受けることをおすすめします。
アフターピル後に消退出血がないまま生理になった場合
消退出血がないまま通常の生理が来た場合は、避妊が成功していると考えてよいでしょう。
予定された生理が通常どおりのタイミングと出血量で来ていれば、妊娠の可能性は低いと考えられます。
排卵後のタイミングでアフターピルを服用した場合は消退出血が起こらないこともあります。
消退出血と生理が一度に来て「消退出血がないまま生理が来た」と感じる方も多いです。
ただし不正出血なのか正常な月経なのか区別がつかない場合や、月経が1週間以上遅れた場合は妊娠検査で確認することを推奨します。
緊急避妊薬の有効性は高くレボノルゲストレルで約98〜99%とされていますが、出血の有無だけで判断せず検査で確認すると安心です。
消退出血がこない理由と出血の前兆
消退出血が来ない理由はいくつか考えられ、必ずしも妊娠を意味するわけではありません。
ここでは消退出血が来ない理由と、出血の前兆について解説していきます。
アフターピル服用後に消退出血がこない理由
消退出血が来ない理由には以下のようなものがあります。
①妊娠している
避妊に失敗して妊娠が成立している場合は、消退出血は起こりません。
服用から3週間以上経っても出血がない場合は妊娠検査を行いましょう。
②ホルモンの影響
アフターピルは高用量のホルモン剤です。
排卵抑制や内膜維持により、子宮内膜が剥がれにくくなることがあります。
③子宮内膜が薄い
排卵が起きなかった、またはアフターピルの影響で子宮内膜が厚くならなかった場合は出血が起こりにくくなります。
④月経と重なった
消退出血が本来起きる時期と予定されていた月経の時期が重なって、1回の出血で済んだ可能性があります。
⑤体質
体質やホルモン応答により、消退出血が起こりにくい方もいます。
WHOやCDCの臨床報告でも「消退出血がないことも正常の範囲」と明記されています。
アフターピル服用後に消退出血がこないのはストレスのせい?
「ストレスがアフターピルの効果を下げる」と結論づけたエビデンスは現時点ではありません。
アフターピル自体の薬理効果がストレスで減弱するとは言えないでしょう。
しかしストレスが排卵やホルモン応答に影響を及ぼすことは広く知られています。
強いストレスは月経周期を乱す原因になることがあり、消退出血のタイミングにも影響を与える可能性があります。
また服用タイミングの遅れや服薬忘れなど、間接的な影響を与える可能性は十分あり得ます。
ストレスだけが原因とは断言できないため、不安な場合は妊娠検査で確認することをおすすめします。
消退出血が起こる前兆や特徴
消退出血が起こる前には、いくつかの前兆が見られることがあります。
下腹部の軽い張りや痛み
生理前と似た感覚で、子宮内膜の変化により軽い腹痛や違和感を感じることがあります。
おりものの性状変化
排卵期の粘液状から、やや白濁・乾燥気味のおりものに変化することがあります。
体温の変動
ホルモンバランスの急変により、基礎体温がやや不安定になる方もいます。
ただしこれらの前兆はない場合のほうが多く、自覚できる変化がないまま出血が起こるケースも一般的です。
消退出血は医学的には離脱出血(withdrawal bleeding)とも呼ばれ、必ず起こるものではありません。
副作用として比較的よく見られる現象で、心配のいらないケースがほとんどです。
消退出血・生理・着床出血・不正出血の違い
消退出血、生理、着床出血、不正出血はそれぞれ異なる出血であり、見分けることが重要です。
以下の表で特徴を比較してみましょう。
【消退出血・生理・着床出血・不正出血の比較】
| 項目 | 消退出血 | 生理(月経) | 着床出血 | 不正出血 |
|---|---|---|---|---|
| 出現時期 | 服用後2〜7日 | 通常の月経周期通り | 排卵から6〜12日後 | 月経周期に関係なく不定期 |
| 出血量 | 少なめ | 通常の月経通り | ごく少量 | 少量〜大量までさまざま |
| 出血の色 | 鮮血〜褐色 | 鮮血〜暗赤色 | ピンク〜薄茶色 | 鮮血、褐色など様々 |
| 持続期間 | 2〜5日程度 | 3〜7日程度 | 1〜2日程度 | 数時間〜1週間以上 |
| 妊娠の可能性 | 出血があっても妊娠の可能性あり | 通常の生理なら妊娠なし | ほぼ妊娠確定のサイン | 妊娠関連の場合あり |
| 検査の必要性 | 服用3週間後に確認推奨 | 検査不要 | 妊娠検査で確認 | 原因不明なら受診必要 |
出血だけでこれらを完全に区別することは難しい場合もあります。
不安な場合は妊娠検査薬で確認するか、産婦人科を受診することをおすすめします。
消退出血の量(多い・少ない)や期間(長い・短い)が気になる場合の対処法
消退出血の量や期間が通常と異なる場合は、状況に応じた対処が必要です。
消退出血の量・期間は通常の生理より少なめ・短め(平均2〜5日)が多いとされています。
出血量が多い場合
月経あるいは不正出血の可能性も考えられます。
多量すぎる場合は子宮出血の可能性があるため、医師に相談することをおすすめします。
出血量が少ない場合
おりものに混じる程度のごく少量であれば着床出血の可能性もあります。
極少量の場合は妊娠検査で確認してください。
出血期間が長い場合(5日以上続く)
ホルモン異常や子宮疾患の可能性があるため、産婦人科を受診しましょう。
出血期間が短い場合(1日未満で終わる)
消退出血でない可能性(着床出血など)が考えられます。
アフターピル服用後21日を目安に妊娠検査を行うのがよいでしょう。
いずれの場合も不安を感じたら医療機関に相談することが大切です。
アフターピル服用後の出血に関するよくある質問(Q&A)
アフターピルの出血は何日後ですか?
消退出血は服用後約3〜7日後に起こることが多いとされています。
遅くとも2週間以内に起こることが多いですが、そもそも消退出血が起こらない方もいます。
約半数の方は消退出血がないまま通常の生理が来るため、出血がなくても過度に心配する必要はありません。
アフターピルが成功したサインは?
消退出血や予定通りの月経が来れば、避妊に成功した可能性が高いと考えられます。
服用後3週間以内に何らかの出血があれば成功のサインといえるでしょう。
ただし出血があっても妊娠していないとは限らないため、不安な場合は妊娠検査で確認することをおすすめします。
アフターピルを飲んだあと着床出血は起こる?
アフターピルを飲んでも避妊に失敗した場合は、着床出血が起こる可能性があります。
着床出血は受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる出血で、妊娠のサインのひとつです。
消退出血と時期が重なることもあるため区別が難しいですが、ごく少量でピンク〜薄茶色の出血であれば着床出血の可能性があります。
アフターピルと着床出血の違いは何ですか?
消退出血は服用後2〜7日程度で起こり、2〜5日間続くことが多いです。
着床出血は排卵から6〜12日後に起こり、1〜2日程度で終わることが多く、出血量もごく少量です。
消退出血は少なめ〜中程度の出血量ですが、着床出血はおりものに混じる程度のことが多いとされています。
まとめ|アフターピル服用後の出血に不安を感じたら相談しよう
アフターピル服用後に消退出血が来なくても、避妊に失敗したとは限りません。
消退出血は服用者の約46%程度に見られる現象であり、約半数の方は消退出血がないまま通常の生理が来ます。
通常通りの月経が予定日前後に来れば避妊は成功していると考えてよいでしょう。
ただし服用から3週間以上経っても出血がない場合は妊娠検査を行うことが推奨されています。
消退出血、生理、着床出血、不正出血はそれぞれ特徴が異なるため、出血のタイミングや量を確認することが大切です。
出血が長引く場合や大量の出血がある場合は産婦人科を受診してください。
不安を感じたらひとりで悩まずに医師に相談しましょう。

