避妊に失敗しないためのアフターピルの正しい飲み方│食後・食前どちらに飲むかも解説
アフターピルは避妊に失敗した際に服用する緊急避妊薬ですが、正しい飲み方を知らないと十分な効果が得られない可能性があります。
「食後と食前どちらに飲めばいいのか」「水以外で飲んでも大丈夫なのか」「一緒に食べてはいけないものはあるのか」など、疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
アフターピルにはヤッペ法、レボノルゲストレル法、ウリプリスタール法といった種類があり、それぞれ飲み方が異なります。
飲み方を間違えると避妊効果が低下してしまうリスクがあるため、正しい知識を身につけておくことが大切です。
本記事ではアフターピルの種類別の正しい飲み方から、服用時の注意点、一緒に摂取してはいけない食品や飲み物まで詳しく解説していきます。
アフターピルを服用する予定の方やこれから処方を受ける方はぜひ参考にしてください。
アフターピルの正しい飲み方とは│開封から服用までの流れ
アフターピルは種類によって飲み方が異なるため、処方されたお薬に合った方法で服用することが大切です。
現在日本で処方されるアフターピルは主に3種類あり、それぞれ服用する錠数や回数、タイミングが違います。
間違った飲み方をすると避妊効果が低下するリスクがあるため、処方時に医師から受けた指示をしっかり確認してから服用しましょう。
ここでは種類別に正しい飲み方を詳しく解説していきます。
ヤッペ法(商品名:プラノバール)
ヤッペ法は中用量ピルであるプラノバールを使用する方法で、2回に分けて服用するのが特徴です。
性行為後72時間以内に2錠を服用し、さらにその12時間後にもう2錠を服用します。
合計4錠を12時間間隔で2回に分けて飲むため、2回目の服用を忘れないようにアラームを設定しておくと安心です。
ヤッペ法は他の方法と比較して吐き気などの副作用が出やすいとされています。
吐き気が心配な場合は、吐き気止めを一緒に処方してもらうこともできます。
2回目の服用を忘れてしまうと避妊効果が低下するため、必ず12時間後に2錠目を服用してください。
現在はより副作用が少なく効果の高いレボノルゲストレル法が主流となっており、ヤッペ法が処方されることは少なくなっています。
レボノルゲストレル法(商品名:ノルレボ・レボノルゲストレル・マドンナ)
レボノルゲストレル法は現在最も広く使用されているアフターピルの服用方法です。
性行為後72時間以内に1錠を1回服用するだけで完了するため、飲み忘れのリスクが少なく手軽に服用できます。
ノルレボやレボノルゲストレル錠は1.5mgのレボノルゲストレルを含む1錠を服用する形式です。
マドンナは0.75mgを含む錠剤が2錠入っており、2錠を同時に1回で服用します。
2回に分けて服用する必要はなく、届いたらすぐに2錠をまとめて飲んでください。
ヤッペ法と比較して副作用が少なく避妊効果も高いため、現在はレボノルゲストレル法が第一選択となっています。
服用が早ければ早いほど効果が高まるため、お薬が届いたらできるだけ早く服用することが大切です。
ウリプリスタール法(商品名:エラ・エラワン・ジョセイ)
ウリプリスタール法は120時間(5日)以内まで有効な服用方法で、72時間を過ぎてしまった場合に選択されます。
性行為後120時間以内に1錠を1回服用するだけで完了します。
エラ、エラワン、ジョセイはいずれも30mgのウリプリスタル酢酸エステルを含む錠剤で、1錠を服用する形式です。
レボノルゲストレル法と同様に1回の服用で完了するため、飲み忘れの心配がありません。
120時間以内であれば比較的安定した避妊効果が維持できるとされており、翌日届く配送を利用する場合にも時間的な余裕を持てます。
ただし120時間を過ぎると効果が大幅に低下するため、期限内に必ず服用してください。
服用は早ければ早いほど効果が高まるため、120時間まで有効だからといってギリギリまで待つ必要はありません。
アフターピルを服用する際の注意点
アフターピルを服用する際にはいくつかの注意点があります。
正しい方法で服用しないと避妊効果が低下するリスクがあるため、以下のポイントをしっかり確認してから服用してください。
アフターピルは食後・食前関係なくなるべく早く飲む
アフターピルは食後でも食前でも関係なく、届いたらすぐに服用することが最も重要です。
アフターピルの避妊効果は服用するタイミングが早いほど高くなります。
24時間以内に服用すれば約99%の妊娠阻止率が期待できますが、時間が経過するほど効果は低下していきます。
「食後に飲んだほうがいい」「空腹時は避けたほうがいい」といった情報を見て服用を遅らせる方もいますが、それは誤りです。
食事の有無よりも服用するタイミングのほうがはるかに重要なのです。
空腹時に服用すると吐き気が出やすいという方は、軽くクラッカーやパンを食べてから服用してもよいでしょう。
ただし食事の準備に時間をかけて服用が遅れるくらいなら、空腹のまますぐに服用することをおすすめします。
アフターピルは必ず水で飲む
アフターピルは水またはぬるま湯で服用することが推奨されています。
水以外の飲み物で服用すると、お薬の吸収に影響を与える可能性があるためです。
特にカフェインを含むコーヒーや紅茶、アルコールを含む飲み物での服用は避けてください。
グレープフルーツジュースもお薬の代謝に影響を与える成分が含まれているため不適切です。
お茶やスポーツドリンクも念のため避けておいたほうが安心でしょう。
コップ1杯程度の水またはぬるま湯と一緒に服用することで、お薬がスムーズに胃に届き吸収されやすくなります。
水が手元にない場合は購入してから服用することをおすすめしますが、どうしても用意できない場合は少量の水でも服用を優先してください。
服用前・服用後の飲酒は控える
アフターピルを服用する前後はアルコールの摂取を控えることが推奨されています。
アルコールはお薬の代謝に影響を与える可能性があり、避妊効果を低下させるリスクがあります。
また飲酒によって吐き気が増強されたり、実際に嘔吐してしまったりするリスクも高まります。
服用後2時間以内に吐いてしまうとお薬が十分に吸収されていない可能性があり、再度服用が必要になる場合があります。
服用前にすでに飲酒してしまった場合でも、アフターピルの服用を遅らせる必要はありません。
服用を遅らせるリスクのほうが大きいため、飲酒後であってもできるだけ早く服用してください。
服用後は少なくとも数時間は飲酒を避け、体調が落ち着いてから普段の生活に戻るようにしましょう。
服用後2時間以内の嘔吐・下痢に気を付ける
アフターピルを服用してから2時間以内に嘔吐や激しい下痢があった場合は、お薬が十分に吸収されていない可能性があります。
アフターピルは服用後約2時間程度で有効成分が体内に吸収されるとされています。
この2時間以内に吐いてしまったり激しい下痢をしたりすると、お薬の効果が得られない可能性があるのです。
吐き気はアフターピルの副作用としてよく見られる症状のため、服用後は安静にして過ごすことをおすすめします。
横になって休んだり、深呼吸をしたりすることで吐き気が和らぐことがあります。
激しい運動や乗り物での移動は吐き気を悪化させる可能性があるため、服用後2時間は安静にしておきましょう。
吐き気が心配な場合は、吐き気止めを一緒に処方してもらうこともできます。
もし服用後に吐いてしまった時は再度服用する
服用後2時間以内に吐いてしまった場合は、再度アフターピルを服用する必要がある場合があります。
嘔吐物の中にお薬の成分が含まれている可能性があり、そのままでは十分な避妊効果が得られないためです。
吐いてしまった場合はまず処方を受けたクリニックに連絡して指示を仰いでください。
状況によっては追加のお薬を処方してもらえる場合があります。
服用後2時間以上経過してから吐いた場合は、お薬の吸収がほぼ完了しているため再度服用の必要はないとされています。
吐いてしまった時間を正確に把握しておくことが大切です。
判断に迷う場合は自己判断せずに必ず医師に相談してください。
次の生理がくるまで性行為は控える
アフターピルを服用した後、次の生理が来るまでは性行為を控えるか避妊具を使用することが推奨されています。
アフターピルは服用前に行った性行為に対してのみ効果を発揮し、服用後の性行為に対しては避妊効果がありません。
服用後に再び避妊なしで性行為を行った場合は、新たにアフターピルを服用するか別の避妊方法を取る必要があります。
排卵のタイミングは予測が難しく、アフターピルを服用しても排卵が完全に抑制されているとは限りません。
次の生理が来るまではコンドームなどの避妊具を使用することが大切です。
今後は低用量ピルの服用を検討するのもひとつの方法です。
低用量ピルを毎日服用することで排卵を抑制し、高い避妊効果を維持できます。
アフターピルと一緒に食べてはいけないもの・飲んではいけないもの
アフターピルの効果を最大限に発揮するためには、一緒に摂取してはいけない食品や飲み物を知っておくことが大切です。
特定の食品や飲み物はお薬の代謝や吸収に影響を与え、避妊効果を低下させる可能性があります。
服用前後には以下のものを避けるようにしてください。
アルコールが含まれるもの
アルコールはアフターピルの代謝に影響を与える可能性があるため、服用前後の摂取は控えてください。
ビール、ワイン、日本酒、焼酎、カクテルなど種類を問わずアルコールを含む飲み物は避けましょう。
アルコールによって肝臓の代謝機能が変化し、お薬の効果が弱まるリスクがあります。
また飲酒によって吐き気が増強され、服用後に嘔吐してしまうリスクも高まります。
服用前にすでにアルコールを摂取してしまった場合でも、服用を遅らせる必要はありません。
ただし服用後は少なくとも数時間〜半日程度はアルコールを控えることをおすすめします。
お酒を飲む予定がある日にアフターピルを服用した場合は、予定を変更して飲酒を控えるようにしましょう。
カフェインが含まれるもの
カフェインを多く含む飲み物もアフターピル服用前後は控えたほうが安心です。
コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、コーラなどにはカフェインが含まれています。
カフェインには利尿作用があり、体内の水分排出を促進することでお薬の吸収に影響を与える可能性があります。
また胃を刺激する作用もあるため、アフターピルの副作用である吐き気を悪化させることがあります。
服用時は水またはぬるま湯を使用し、服用後もしばらくはカフェインを控えるようにしましょう。
どうしてもカフェインを摂取したい場合は、服用から2時間以上経過してからにしてください。
少量であれば大きな問題にはならないとされていますが、念のため控えておくのが安心です。
グレープフルーツ
グレープフルーツはさまざまなお薬との相互作用があることで知られており、アフターピル服用時も避けることが推奨されています。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という成分が、肝臓でお薬を代謝する酵素の働きを阻害します。
その結果、お薬の血中濃度が上昇したり効果が変化したりする可能性があるのです。
グレープフルーツジュースはもちろん、果肉を食べることも避けたほうがよいでしょう。
スウィーティーやブンタン、ザボンなど同じ柑橘類でも同様の成分を含むものがあります。
オレンジやみかん、レモンなどは問題ないとされていますが、念のため柑橘類全般を服用前後は控えておくと安心です。
服用から24時間程度経過すれば通常通り摂取しても問題ありません。
セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ウォート)が含まれる食品
セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ウォート)はアフターピルとの相互作用が明確に指摘されている成分です。
セント・ジョーンズ・ウォートはハーブティーやサプリメントに含まれていることがあり、気分の落ち込みを和らげる目的で使用されています。
この成分は肝臓の代謝酵素を活性化させる作用があり、アフターピルの有効成分が通常より早く代謝されてしまいます。
その結果、お薬の血中濃度が低下し避妊効果が弱まるリスクがあるのです。
アフターピルの添付文書にもセント・ジョーンズ・ウォートとの併用に注意するよう記載されています。
ハーブティーやサプリメントを日常的に摂取している方は、成分表示を確認してセイヨウオトギリソウが含まれていないか確認してください。
服用の数日前から服用後数日間は摂取を控えることをおすすめします。
アフターピルでよく現れる副作用
アフターピルを服用すると吐き気、頭痛、腹痛、倦怠感、めまい、不正出血などの副作用が現れることがあります。
これらの症状は一時的なもので、多くの場合は数時間〜数日以内に自然におさまります。
吐き気は最も多い副作用のひとつで、服用後数時間以内に現れることが多いです。
頭痛や倦怠感も比較的よく見られる症状ですが、市販の頭痛薬を服用しても問題ないとされています。
不正出血は服用後数日〜2週間程度で起こることがあり、消退出血として見られる場合もあります。
副作用の現れ方には個人差があり、全く症状が出ない方もいれば強く出る方もいます。
副作用が数日経っても改善しない場合や激しい腹痛・大量の出血がある場合は医師に相談することをおすすめします。
アフターピル服用後、避妊に成功したか確認する方法
アフターピルを服用した後は避妊が成功したかどうかを確認することが大切です。
最もわかりやすいサインは消退出血と呼ばれる出血が起こることです。
消退出血は服用後1〜3週間程度で起こることが多く、子宮内膜が剥がれ落ちることで生じます。
生理のような出血が見られれば避妊が成功した可能性が高いと考えられます。
ただし消退出血が起こらない方もいるため、出血がないからといって妊娠したとは限りません。
逆に消退出血があっても100%避妊が成功したとは言い切れないため、不安な場合は妊娠検査薬で確認しましょう。
服用後3週間経っても生理が来ない場合は妊娠検査薬を使用するか医師に相談することをおすすめします。
よくある質問
副作用はいつからいつまで出ますか?
アフターピルの副作用は服用後数時間以内に現れることが多く、吐き気や頭痛は24時間程度で落ち着くことがほとんどです。
倦怠感や腹痛も数日以内に自然におさまることが多いとされています。
不正出血は服用後数日〜2週間程度で起こることがあります。
副作用が1週間以上続く場合や症状が強い場合は医師に相談することをおすすめします。
アフターピルを水なしで飲んでしまったらどうしたらいいですか?
水なしで服用してしまった場合でも、お薬自体は胃に届いていれば効果は得られます。
錠剤が喉や食道に張り付いている感覚がある場合は、すぐに水を飲んで流し込んでください。
服用後であっても水分を摂取することでお薬の吸収を助けることができます。
次回からは必ず水またはぬるま湯と一緒に服用するようにしましょう。
アフターピルの服用後・服用前にお酒を飲んでしまいました。避妊効果に影響しますか?
少量の飲酒であれば避妊効果に大きな影響はないとされていますが、控えるに越したことはありません。
飲酒によって吐き気が増強され嘔吐してしまうリスクがあるため注意が必要です。
服用後に嘔吐した場合はお薬が吸収されていない可能性があるため医師に相談してください。
今後は服用前後の飲酒を控えるようにしましょう。
アフターピルを飲んだ後にご飯は食べても大丈夫ですか?
アフターピルを服用した後に食事を摂ることは問題ありません。
空腹状態が続くとかえって吐き気が悪化することもあるため、軽い食事を摂ることをおすすめします。
消化の良いものを少量ずつ食べるとよいでしょう。
ただし服用後しばらくはアルコールやカフェイン、グレープフルーツは避けてください。
まとめ
アフターピルは種類によって飲み方が異なりますが、いずれも服用は早ければ早いほど効果が高まります。
レボノルゲストレル法は1回1錠、ウリプリスタール法も1回1錠の服用で完了するため飲み忘れの心配がありません。
食後・食前は関係なく、届いたらすぐに水またはぬるま湯で服用することが大切です。
アルコール、カフェイン、グレープフルーツ、セント・ジョーンズ・ウォートは服用前後に避けるようにしてください。
服用後2時間以内に吐いてしまった場合は医師に相談して再度服用が必要か確認しましょう。
次の生理が来るまでは性行為を控えるか避妊具を使用することが推奨されます。
正しい飲み方を守って服用すれば高い避妊効果が期待できるため、焦らず確実に服用してください。

