PMSは生理中も続く?生理前に起こるものじゃないの?長引くPMSの原因と対処法を紹介

「PMSって生理前だけのものじゃないの?なのに生理中も症状が続いている…」そんな疑問や悩みを抱えていませんか?
実は、PMSの症状が生理中も続くケースは珍しくありません。
この記事では、PMSの基本から、なぜ生理中も症状が続くのか、その原因と効果的な対処法までわかりやすく解説します。
PMSとは?生理前の不快な症状の正体
PMSは「月経前症候群(Premenstrual Syndrome)」の略で、生理開始の7〜10日前から現れる身体的・精神的な不快症状の総称です。
これらの症状は、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)のバランスが崩れることで引き起こされます。
PMSの主な症状
PMSの症状は実に多様で、200種類以上あるといわれています。
主な症状は身体的なものと精神的なものに分けられます。
これらの症状は個人差が大きく、軽い人から日常生活に支障をきたすほど重度の症状に悩まされる人まで様々です。
PMSの症状は通常、生理が始まると軽減または消失するのが一般的とされています。
しかし、実際には生理中も症状が続くケースも少なくないのです。
PMSは生理中も続くことがある?
「PMSは生理前だけのもの」という認識が一般的ですが、実際には生理中も症状が続くことがあります。これには複数の理由が考えられます。
PEMSという別の症候群
生理中に症状が続く場合、それは「PEMS(周経期症候群)」である可能性があります。
PEMSはPMSと異なり、生理中に症状のピークがくるのが特徴です。
PEMSは主に精神的・社会的症状(無気力感、孤独感など)を特徴とし、生理が終わると症状が軽快します。
PEMSとPMSの症状は似ていることが多いため、自分がどちらなのか判断するのは難しいかもしれません。
症状の出現タイミングが重要な判断材料になります。
月経困難症との関連
生理中の強い痛みや不快感を伴う「月経困難症」も、PMSと混同されることがあります。
月経困難症は主に生理中の症状ですが、PMSと合併することも珍しくありません。
月経困難症には以下の2種類があります。
器質性月経困難症は治療が必要で、放置すると不妊のリスクも高まるため、強い痛みがある場合は婦人科を受診しましょう。
ホルモンバランスの乱れが長引く場合
PMSの主な原因はホルモンバランスの変動ですが、このバランスの乱れが生理開始後もすぐには正常化せず、症状が持続するケースもあります。
特にストレスが多い現代女性は、自律神経の乱れからホルモンバランスが安定しにくくなっていることも考えられます。
女性ホルモンは脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)の分泌にも影響するため、生理中もイライラや気分の落ち込みが続くことがあるのです。
時期 | ホルモンの状態 | 主な症状 |
---|---|---|
排卵後〜生理前 | 黄体ホルモン増加→減少 | イライラ、むくみ、乳房痛など |
生理中 | 両ホルモン低下 | 痛み、倦怠感、気分の落ち込みなど |
生理後 | 卵胞ホルモン増加 | 症状軽減、安定期 |
この表からわかるように、ホルモンレベルは生理中も変動しており、それに伴って症状も変化します。
特に生理開始直後は両ホルモンが低下する時期であり、倦怠感や気分の落ち込みが生じやすくなります。
生理中もPMS症状が続く原因
生理中もPMS症状が続く原因はいくつか考えられます。
ここでは主な原因について詳しく解説します。
ホルモンバランスの変動が激しい場合
女性の体内では、月経周期に合わせて黄体ホルモンと卵胞ホルモンのレベルが変動しています。
この変動が特に激しい場合、生理が始まってもホルモンバランスがすぐには安定せず、症状が持続することがあります。
特に黄体ホルモンの急激な低下は、セロトニンなどの神経伝達物質にも影響し、精神的な症状が長引く原因になります。
年齢やストレス、生活習慣の乱れなどによっても、このホルモン変動の幅が大きくなることがあります。
ストレスによる自律神経の乱れ
現代社会では多くの女性が慢性的なストレスにさらされています。
ストレスは自律神経に直接影響し、それがホルモンバランスをさらに乱す悪循環を生み出します。
自律神経の乱れは、以下のような形でPMS症状を長引かせることがあります。
ストレスの多い生活環境にある方は、生理前から生理中、さらには生理後まで症状が連続することもあります。
栄養バランスの偏り
食生活の乱れも、PMSの症状を長引かせる原因になります。
特に以下の栄養素不足はホルモンバランスに直接影響します。
特に生理中は鉄分が不足しやすいため、鉄欠乏性貧血を起こしやすく、これがだるさや疲労感を悪化させることがあります。
婦人科疾患の可能性
生理中も強い症状が続く場合、特に痛みを伴う場合は、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症ような婦人科疾患の可能性も考慮する必要があります。
生理痛が年々悪化している、通常の鎮痛剤では効かないほどの強い痛みがある、不正出血がある、などの症状がある場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
PMSと間違えやすい症状や疾患
PMSと似た症状を示す他の状態や疾患について知っておくことも大切です。
症状が長引く場合、以下のような可能性も考えられます。
PMDDとの違い
PMDD(月経前不快気分障害)は、PMSの中でも特に精神症状が重度なものを指します。
PMDDは女性の約5%に見られ、以下のような特徴があります。
PMDDは精神疾患の一つとして診断基準が設けられており、専門的な治療が必要なことがあります。
月経困難症との違い
月経困難症は生理中の症状ですが、PMSと重なる部分もあり、区別が難しいことがあります。
以下が主な違いです。
PMS | 月経困難症 | |
---|---|---|
主な症状時期 | 生理前(7〜10日前) | 生理中(特に開始1〜2日目) |
主な症状 | 身体的・精神的症状両方 | 主に腹痛、腰痛などの痛み |
症状の消失 | 生理開始で軽減・消失 | 生理終了で消失 |
この表から分かるように、症状が現れる時期と主な症状の種類が両者の主な違いになります。
ただし、両方の症状を併せ持つケースも多いため、単純に区別できないこともあります。
甲状腺疾患との違い
甲状腺の機能異常も、PMSと似た症状を引き起こすことがあります。
甲状腺ホルモンは基礎代謝や自律神経に大きく関わっているためです。
特に以下のような症状が月経周期に関係なく続く場合は、甲状腺疾患の可能性を疑ってみるとよいでしょう。
甲状腺機能検査は比較的簡単な血液検査で確認できますので、上記の症状が気になる方は一度検査を受けてみるとよいでしょう。
PMSが生理中も続く場合の効果的な対処法
PMSの症状が生理中も続く場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
ここでは生活習慣の改善から医療的なアプローチまで、様々な対処法をご紹介します。
食生活の見直し
栄養バランスの取れた食事は、ホルモンバランスを整える基本です。
特に生理中は鉄分の補給が重要になりますが、以下の栄養素も意識して食事をとることが重要です。
反対に、過剰な塩分や糖分、カフェイン、アルコールはむくみや気分の変動を悪化させるため控えめにしましょう。
特に生理前〜生理中は、身体が甘いものを欲する傾向がありますが、過剰摂取は血糖値の急激な変動を招き、気分の波を大きくします。
適切な運動習慣
適度な運動は、ホルモンバランスの改善や自律神経の調整に効果的です。
特にセロトニンの分泌を促進するウォーキング、ヨガやストレッチなどの有酸素運動がおすすめです。
ただし、生理中の激しい運動は出血量を増やす可能性があるため、強度は控えめにするのがポイントです。
特にヨガは、自律神経のバランスを整えるのに効果的で、呼吸法を取り入れることでリラックス効果も高まります。
ストレス管理の方法
ストレスはPMSを悪化させる大きな要因です。
適切なストレス管理は症状改善の鍵となります。
睡眠不足はホルモンバランスを大きく乱す原因になりますので、特に生理前〜生理中は十分な睡眠を心がけましょう。
婦人科での相談と医療的アプローチ
セルフケアで改善が見られない場合や症状が重い場合は、婦人科での相談が重要です。
医療的なアプローチには以下のようなものがあります。
特に低用量ピルは、脳に妊娠したと錯覚させることでホルモン変動を抑え、PMSや月経困難症の症状を大幅に軽減する効果があります。
また、ピルには避妊効果だけでなく、子宮内膜症のリスク低減や卵巣がん予防、ニキビ改善など様々なメリットがあります。
生理中にも続くPMSのまとめ
この記事では、PMSの症状が生理中も続く理由や対処法について解説してきました。
PMSは本来生理前の症状ですが、様々な要因によって生理中も症状が持続することがあります。
PMSの症状に悩んでいる方は、まずは自分の症状をしっかり把握し、生活習慣の見直しから始めてみましょう。
改善が見られない場合や症状が重い場合は、婦人科医に相談することをおすすめします。
あなたの症状に合った最適な対処法を見つけ、毎月の生理をより快適に過ごせるようにしていきましょう。