生理前に悪寒がするのはなぜ?これって妊娠?原因や対処法について解説

生理前に寒気や悪寒を感じるなど、体調の変化に悩まされている方は少なくありません。
実は、これはホルモンバランスの変動による一般的な症状であることが多いのですが、「もしかして妊娠?」と不安になることもあるでしょう。
この記事では、生理前の悪寒の原因や対処法について詳しく解説していきます。
生理前の悪寒とは?なぜ起こるのか
生理前の悪寒は、実際の気温に関係なく体が寒さを感じたり震えたりする状態を指します。
単なる冷え性とは異なり、生理周期に合わせて現れるのが特徴です。
ホルモンバランスの変化による影響
生理前、特に排卵後の黄体期には、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増加します。
このホルモンは体温を0.3~0.5℃ほど上昇させる作用があります。
体温調節に関わる視床下部がこの変化に対応しきれないと、一時的に体が寒さを感じることがあります。
さらに、生理前には卵胞ホルモン(エストロゲン)の急激な減少も起こり、これが自律神経のバランスを崩す原因となります。
自律神経の乱れと血行不良
ホルモンバランスの変化は自律神経にも影響を及ぼします。
自律神経の乱れは血管の収縮を引き起こし、末端の血行が悪くなることで寒気を感じやすくなります。
特に手足の冷えを伴う場合は、血行不良が原因であることが多いです。
また、生理前は交感神経が優位になりやすく、ストレスに対して過敏に反応することも寒気の一因となります。
生理前の悪寒はPMSの一症状の可能性
生理前に感じる悪寒は、PMS(月経前症候群)の症状の一つとして現れることがあります。
PMSにはさまざまな症状があり、個人差も大きいのが特徴です。
PMSとは
PMS(月経前症候群)とは、生理前の約3~10日間に現れる心身の不調の総称です。
生理が始まるとともに症状が軽減または消失するのが特徴です。
日本人女性の約8割がなんらかのPMS症状を経験していると言われています。
症状の重さには個人差があり、日常生活に支障をきたすほど重症なケースもあります。
PMSの主な症状
PMSには身体的・精神的に様々な症状があります。
悪寒を含む身体症状と精神症状が同時に現れることが多く、これらは互いに影響し合っています。
症状の組み合わせや程度は人によって大きく異なるため、自分のPMSパターンを知ることが対策の第一歩です。
特に、毎月同じタイミングで同様の症状が現れる場合はPMSを疑いましょう。
生理前の悪寒と妊娠初期の悪寒の違い
「生理前の悪寒」と「妊娠初期の悪寒」は似ていますが、いくつかの点で見分けることができます。
妊娠の可能性がある場合は、これらの違いを理解しておくことが重要です。
タイミングの違い
生理前の悪寒は主に生理予定日の3~10日前に起こり、生理が始まると症状が軽減します。
一方、妊娠初期の悪寒は生理予定日を過ぎても続くことが特徴です。
通常なら生理が来て症状が改善するはずの時期に悪寒が続く場合は、妊娠の可能性を考慮する必要があります。
また、妊娠初期の悪寒は朝の時間帯に強く現れる傾向があります。
他の症状との関連
妊娠初期の悪寒は、他の妊娠初期症状とともに現れることが多いです。
症状 | 生理前 | 妊娠初期 |
---|---|---|
悪寒 | 生理前に現れ、生理開始で改善 | 生理予定日を過ぎても継続 |
疲労感 | 軽度~中程度 | 強い倦怠感(特徴的) |
胸の張り | 軽度で生理と共に改善 | 持続的でより顕著 |
吐き気 | 稀 | 朝に強く現れることが多い |
頻尿 | ほとんどなし | よく見られる症状 |
生理前と妊娠初期では似た症状がありますが、その持続性や強さ、随伴症状に違いがあります。
妊娠初期特有の症状としては、強い倦怠感や頻尿が挙げられます。
生理予定日を1週間以上過ぎても生理が来ず、悪寒とともに上記の症状がある場合は、妊娠検査薬で確認してみることをおすすめします。
妊娠の可能性が気になる場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
生理前の悪寒を和らげる方法
生理前の悪寒は完全に防ぐことは難しいですが、いくつかの対策で症状を軽減することができます。
日常生活の中で取り入れやすい方法を紹介します。
体を温める食生活
食事は体温調節に大きく影響します。
生姜やシナモンなどの体を温める食材を積極的に取り入れましょう。
反対に、白砂糖の過剰摂取やカフェインの多い飲み物は体を冷やす作用があるため、生理前は控えめにすることをおすすめします。
アルコールは一時的に体が温まるように感じますが、その後の発汗で体温が下がりやすくなるため注意が必要です。
血行を促進する運動
適度な運動は血行を良くし、体温の維持に役立ちます。
特にストレッチやヨガ、ウォーキングなどの軽い運動がおすすめです。
運動は自律神経のバランスを整える効果もあるため、PMS全般の症状緩和にも役立ちます。
ただし、激しい運動は逆にホルモンバランスを乱す可能性があるので避けましょう。
入浴とマッサージ
入浴は体を芯から温める効果的な方法です。
38~40度のお湯にゆっくり20分程度浸かると、血行が促進され悪寒が和らぎます。
入浴後は、手足の先から心臓に向かって軽くマッサージすると効果的です。
シャワーだけで済ませず、可能な限り湯船にしっかり浸かることが大切です。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激するため、ぬるめのお湯でリラックスするのがポイントです。
適切な服装と生活環境
体の冷えを防ぐには、服装や生活環境の工夫も重要です。
特に腹部・腰・足首を温めることでホルモンバランスを整える効果が期待できます。
また、室温管理も大切です。
エアコンの風が直接当たる場所は避け、季節の変わり目には特に体温調節に気を配りましょう。
冷たい床や椅子に長時間座ることも体を冷やす原因になるため、クッションやひざ掛けを活用することをおすすめします。
ホルモンバランスを整えて根本から改善
生理前の悪寒を根本から改善するには、ホルモンバランスを整えることが重要です。
日常生活の中で取り入れられる対策をご紹介します。
規則正しい生活リズム
ホルモンバランスを整えるには、体内時計を正常に保つことが非常に重要です。
毎日同じ時間に起床・就寝することで、ホルモン分泌のリズムが整います。
特に就寝前のブルーライト(スマートフォンやパソコン)は避け、質の良い睡眠を確保することがホルモンバランスには不可欠です。
睡眠不足が続くと黄体ホルモンの分泌が不規則になり、生理前の症状が悪化することがあります。
ストレス管理
ストレスはホルモンバランスを乱す大きな要因です。
ストレスホルモンである「コルチゾール」が増えると、性ホルモンのバランスが崩れやすくなります。
自分なりのストレス発散法を見つけ、定期的に実践することが効果的です。
ストレスが溜まりすぎると自律神経のバランスが大きく崩れ、悪寒だけでなく様々なPMS症状が悪化する可能性があります。
バランスの良い食事
ホルモンバランスを整えるには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
特にビタミンB6やマグネシウム、鉄分などのミネラルはホルモン代謝に重要な役割を果たします。
加工食品や糖分の多い食品は控え、できるだけ自然な食材を中心とした食事を心がけましょう。
生理前は特に甘いものが欲しくなりますが、過剰摂取はホルモンバランスを乱す原因となるため注意が必要です。
医療機関を受診すべきケース
生理前の悪寒が日常生活に支障をきたすほど重症な場合や、他の気になる症状がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
特に以下のようなケースは専門医に相談することをおすすめします。
症状が重度で日常生活に支障がある場合
悪寒が激しく、通常の活動ができないほど辛い場合は、PMDD(月経前不快気分障害)という重度のPMSの可能性があります。
PMDDは精神的症状が特に強く現れ、専門的な治療が必要なことがあります。
毎月の生理前に仕事や学校、家事育児などに大きな影響が出る場合は、我慢せずに婦人科や心療内科を受診しましょう。
「女性なら我慢するもの」と諦めず、適切な治療を受けることで生活の質を大きく改善できるケースも多いです。
悪寒に加えて他の異常な症状がある場合
以下のような症状が悪寒と共に現れる場合は、他の疾患の可能性もあります。
これらの症状が生理周期に関係なく現れる場合は、婦人科系の疾患だけでなく、他の内科的な問題の可能性も考えられます。
不安な症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診して適切な診断を受けることが大切です。
特に急激に症状が悪化した場合や、普段経験したことのない強い症状がある場合は早めに受診しましょう。
妊娠の可能性がある場合
生理予定日を1週間以上過ぎても生理が来ず、悪寒や他の体調変化がある場合は、妊娠の可能性を考慮すべきです。
市販の妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、確定診断のために婦人科を受診しましょう。
妊娠初期は体調の変化が大きい時期なので、悪寒を含む様々な症状に対して適切なケアが必要です。
妊娠が確認された場合は、自己判断での薬の服用は避け、必ず医師の指示に従いましょう。
生理前の悪寒の原因と対処法のまとめ
生理前の悪寒は、主にホルモンバランスの変化や自律神経の乱れが原因で起こる一般的な症状です。
妊娠との区別が気になる場合は、タイミングや他の随伴症状に注目することで見分けることができます。
悪寒を含むPMS症状は「我慢するもの」ではなく、適切な対策で改善できることがほとんどです。
自分の体調の変化をしっかり観察し、必要に応じて専門家に相談することで、より快適な生活を送れるようになります。
症状が気になる方は、まずは生活習慣の見直しから始めてみましょう。
それでも改善しない場合は、婦人科を受診して専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。