アフターピルの副作用がしんどいって本当?服用後の症状と発現率
「アフターピルを飲むとどんな副作用が出るの?」
「副作用はどれくらいしんどい?」
アフターピルを飲む前、このような不安を感じるのは当然のことです。
予期せぬ妊娠を防ぐために服用するアフターピルは、いざという時に頼りになる一方で、その作用の仕組み上、さまざまな副作用が現れることがあります。
この記事では、アフターピル服用後に起こりうる具体的な副作用とその発現率について詳しく解説します。
アフターピル(緊急避妊ピル)の代表的な副作用
アフターピルは予期せぬ妊娠を防ぐために、体内のホルモンバランスを一時的に大きく変化させることで作用します。
そのため服用後に急激なホルモンバランスの乱れが生じ、強い副作用が現れることがあります。
アフターピル服用後によくある副作用は以下6つです。
吐き気・嘔吐
頭痛
腹痛
倦怠感・眠気
不正出血・消退出血
乳房の張り・痛み
お薬の服用後急に強い症状が出て不安になる方が多いですが、1~2日で治まることがほとんどなため吐き気止めや痛み止めを服用して様子をみましょう。
アフターピルの副作用と発現率
アフターピルの副作用は個人差が大きく、全く症状が出ない人もいれば複数の症状が強く出る人もいます。
よくある副作用としては出血、頭痛、腹痛、吐き気が挙げられます。
副作用の発現率は使用されるお薬の種類や個人差によって異なりますが、一般的に以下の通りです。
【アフターピルの副作用発現率】
| 副作用 | レボノルゲストレル | エラ(ウリプリスタル酢酸塩) |
|---|---|---|
| 出血 | 46% | 16% |
| 頭痛 | 12% | 18% |
| 腹痛 | 3% | 15% |
| 吐き気 | 14% | 12% |
| 倦怠感 | 7% | 6% |
レボノルゲストレルの方が出血の副作用の発現率は高いとされています。
副作用は服用後数時間で現れ1〜2日程度で治まることがほとんどのため、もし副作用が出たとしても様子を見て問題ありません。
ただし、日常生活が困難なほど強い副作用が出た場合は医療機関に相談することが重要です。
副作用はいつからいつまで続く?
アフターピルの副作用は通常、服用後数時間以内(2〜3時間後)に現れ始め、多くの場合1〜2日程度で治まります。
特に吐き気や腹痛・倦怠感といった急性期の症状はこの期間で軽減されることが多いです。
※不正出血は服用後数日〜1週間程度続くことがあります。
耐えられないほどの激しい痛みや大量の出血があった場合は迷わず医療機関を受診してください。
アフターピルを飲んだ後生理はいつくれば大丈夫?
アフターピル服用後の生理は服用後3週間以内、通常の生理予定日から1週間程度の遅れで来ていれば妊娠の可能性が低いと考えられています。
ただしアフターピルは排卵を抑制したり遅らせたりする作用があるため、服用時期と排卵時期によって次の生理が来るタイミングは大きく変動します。
そのため生理が来たと思っても妊娠検査薬を使うことをおすすめします。
もし服用後3週間が経過しても生理が来ない場合や、出血量が極端に少ない・いつもと明らかに異なる場合は、妊娠検査薬を使用するか医療機関を受診してください。
生理と消退出血、着床出血、不正出血の違い
生理と消退出血、着床出血、不正出血はそれぞれ出血原因に違いがあります。
特にアフターピル服用後や妊娠の可能性がある時期には見分けがつきにくく、不安を感じることがあります。
それぞれの違いは以下の通りです。
【出血の種類と特徴】
| 出血の種類 | 原因 | 特徴 | 時期 |
|---|---|---|---|
| 生理 | 排卵後に妊娠が成立せず、不要になった子宮内膜がホルモンの影響で剥がれ落ちること | 周期的に起こる、ある程度の量の出血。色(鮮血〜暗赤色)、量、期間(3〜7日程度)はある程度予測できる | 通常、月経周期に合わせて約25〜38日ごとに起こる |
| 消退出血 | 急激なホルモン変動で子宮内膜が一時的に剥がれ落ちることで起こる | 生理より量が少ないことが多い。色は赤色〜茶色が多い。数日で終わることが多い | アフターピル服用後3日〜3週間程度で2~3日間起こることが多い |
| 着床出血 | 受精卵が子宮内膜に着床する際に、子宮内膜の血管を傷つけ起こる | ごく少量の出血。色はピンクや茶色が多い。数日で終わることが多い | 妊娠3~4週頃(最終月経開始日から数えて3~4週目)に1~2日間起こることが多い |
| 不正出血 | ホルモンバランスの乱れ、ストレス、疲労、炎症、婦人科疾患などで起こる | 生理周期とは関係なく、不定期に起こる。量や色、期間も様々 | 不定期に突発的に起こる |
消退出血、着床出血、不正出血はどれも少量の出血であることが特徴なため、見かけだけで判断することは難しいです。
重要なのは妊娠検査薬や医療機関での検査で妊娠しているかどうかをはっきりさせることです。
またもし不安な症状(大量の出血、激しい腹痛、長期にわたる出血など)がある場合は、自己判断せずに、必ず婦人科・産婦人科を受診し医師に相談してください。
アフターピルに関する注意点
アフターピルは正しく服用することで高い避妊効果を発揮します。
アフターピル直後の嘔吐や下痢は避妊効果が激減するため注意
アルコールの摂取は避妊効果が下がる可能性があるため注意
次に生理がくるまでは性行為をしない
上記3つの注意点を守らないと避妊効果が低下したり、妊娠の可能性が高まることがあるためかならず確認しておきましょう。
アフターピル直後の嘔吐や下痢は避妊効果が激減するため注意
アフターピルの服用後、2時間以内に嘔吐や下痢があった場合は再服用の必要があるため注意が必要です。
アフターピルは服用後、消化管から吸収されて血液中に入り効果を発揮します。
しかし嘔吐や激しい下痢があるとお薬が吸収される前に体外に排出されてしまうため、必要な血中濃度に達せず避妊効果が十分に得られなくなるのです。
とくに吐き気に関してはアフターピルの副作用として出やすいため、少しでも吐き気を感じたら吐き気止めを服用し嘔吐を防ぐことが重要です。
アルコールの摂取は避妊効果が下がる可能性があるため注意
アフターピル服用前後のアルコール摂取は避妊効果に直接的な影響を与えるとは断言できませんが、以下2つの理由で避けることが推奨されています。
アルコールが直接お薬の代謝に影響を与える可能性がある
飲みすぎることで吐き気を起こし、お薬を吐いてしまう可能性がある
アフターピルを含む多くのお薬は肝臓によって代謝されます。
アルコールも肝臓で代謝されるため、アフターピルとお酒を同時に摂取することで肝臓に負担がかかり、お薬の吸収がスムーズにできなくなる可能性も否定できません。
またアフターピル服用直後は吐き気が出やすい状態となっているため、刺激物であるアルコールは摂取を控えるのが賢明です。
次に生理がくるまでは性行為をしない
アフターピルを服用した後は次の生理が来るまで性行為を控えるか、コンドームなどの確実な避妊具を必ず使用してください。
アフターピルは一度服用したからといってその後の性行為に対しても避妊効果が続くわけではありません。
排卵を抑制したり、受精卵の着床を妨げたりする効果は一時的であり、体内でお薬の成分が代謝されれば排卵が再開し再び妊娠可能な状態に戻ります。
中には「アフターピルを飲んだ後も避妊効果が続いているかと思った」と言って避妊なしで性行為をしてしまう人が稀にいますが、妊娠の可能性が十分にある大変危険な行為と言えます。
避妊をしても確実に避妊に成功するとも限らないため、次に生理がくるまでは性行為は避けることが安全です。
アフターピルを飲んだ後、避妊に成功したかはどうやって見分ける?
アフターピルを服用した後、避妊に成功したか確認する方法は4つです。
アフターピルを服用してから3週間以内に生理がくるか確認する
生理予定日を1週間過ぎまでに生理が来るか確認する
妊娠検査薬を使う
病院に行って検査をしてもらう
中でも最も確実なのは病院での検査です。
基本的にアフターピル服用後に生理が来て自宅での妊娠検査薬で陰性が出ればほぼ確実に避妊に成功していることになりますが、それでも心配な方は病院で検査をしてもらうのが安心です。
アフターピルを服用してから3週間以内に消退出血がくるか確認する
アフターピル服用後、避妊に成功していれば約3日~21日以内に消退出血(少量の出血)が起こることが多いです。
消退出血はアフターピルのホルモン作用によって排卵が抑制されたり、子宮内膜が剥がれ落ちたりすることによって起こります。
ただしこの消退出血は避妊に成功しても起こらない人もいたり、着床出血と見分けがつかないケースがあるため、消退出血だけで避妊の成功を判断するのは危険です。
【消退出血と着床出血の比較】
| 項目 | 消退出血 | 着床出血 |
|---|---|---|
| 概要 | アフターピル服用後、ホルモンの急激な変化によって子宮内膜がはがれ落ち、生じる出血 | 妊娠が成立した際(妊娠初期)、受精卵によって子宮内膜が傷ついて起こる出血 |
| 時期 | アフターピル服用後3日〜3週間程度で2~3日間起こることが多い | 妊娠3~4週頃(最終月経開始日から数えて3~4週目)に1~2日間起こることが多い |
| 特徴 | 通常の生理よりもさらさらしている。ごく少量の出血であることが多い。ピンク色・茶色・鮮血色などさまざま | 通常の生理よりもさらさらしている。ごく少量の出血であることが多い。ピンク色・茶色・鮮血色などさまざま |
表の消退出血と着床出血の特徴を見てわかるように、それぞれ決定的に見分けることは難しいとされています。
消退出血がきたと思っても、必ず妊娠検査薬を使いましょう。
生理予定日1週間過ぎまでに生理が来るか確認する
通常、アフターピル服用後1週間以内にいつも通りくらいの出血量の生理が来れば、避妊に成功しているケースが多いです。
しかし出血の有無だけでは避妊に成功しているかどうかを正確に判断することはできません。
アフターピルに含まれるホルモンの影響で、生理周期が一時的に乱れたり、普段とは異なる量の出血(消退出血)があったりすることがよくあります。
この消退出血は生理のように見えても、必ずしも避妊が成功したことを意味するわけではありません。
中には出血があった後もホルモンバランスの乱れで本来の生理が大きく遅れることもあります。
そのため最も確実なのは、生理予定日から1週間過ぎても生理が来ない場合に、市販の妊娠検査薬を使用することです。
もし出血があったとしても不安が残るようであれば念のため検査薬を使用し、それでも心配な場合は医療機関を受診しましょう。
妊娠検査薬を使う
出血の確認よりも確実なのが妊娠検査薬の使用です。
妊娠検査薬は尿をかけるだけで妊娠しているかどうか確認できる検査キットで、ドラッグストアや薬局、一部のコンビニで購入することができます。
正確な結果を得るためには性行為から3週間後以降、または生理予定日を1週間以上過ぎてから使用してください。
それより早い時期だと妊娠を判断するホルモンの量が少なく、正確な結果が出ない可能性があります。
妊娠検査薬は99%の正確さで妊娠しているかどうかを判断できるため、出血の有無だけで判断するのではなく、必ず検査薬を使うことをおすすめします。
病院に行って検査をしてもらう
妊娠検査薬でほぼ正確な結果を出すことができますが、病院(婦人科・産婦人科)の検査ではより正確に検査をしてもらうことができます。
婦人科や産婦人科の検査では尿検査、内診、超音波検査などを用いて妊娠の判定を行います。
妊娠検査は診察費も含めて合計10,000円~15,000円ほどかかることが多いです。
検査に行くタイミングは妊娠検査薬と同じく性行為から3週間後以降、または生理予定日を1週間以上過ぎてからがベストです。
もし望まぬ妊娠をしてしまっていた場合は時間が経つほど中絶にかかる体への負担が大きくなるため、早めに検査に行くことをおすすめします。
アフターピルを飲んでも副作用がなかった場合、避妊効果はある?
アフターピル服用後副作用が全くない場合もあり、副作用の有無と避妊効果は直接関係ありません。
副作用はお薬の成分に対する身体の反応であり、お薬が体内で作用しているかどうかとは別の問題です。
副作用がなかったからといって「避妊効果がなかったのでは?」と不安になる必要はありません。
重要なのは正しく服用できたか・その後陰性が確認できたかどうかです。
アフターピル服用後、生理が来なかったらどうしたらいい?
アフターピルの服用後に生理が来なかった場合、まず妊娠検査薬で妊娠しているかどうかを確認しましょう。
目安としては生理予定日1週間を過ぎても生理がこなかった場合に検査することが重要です。
検査をしてみて陽性だった場合、できるだけ早く婦人科または産婦人科を受診してください。
妊娠しているかを確定診断し医師と今後どうしていくかを相談しましょう。
一方で「生理が来ないのに検査薬で陰性が出た」というケースもよくあります。
検査薬で陰性がでているのに生理が来ていない場合、検査する時期が早かったか、妊娠への不安のストレス・ホルモンバランスの乱れで生理が遅れている可能性が考えられます。
「陰性結果を見て安心したらすぐに生理がきた」という人もいますので、数日様子を見て生理が来るのを待つか、日をあけてもう一度妊娠検査薬を使用するとよいでしょう。
アフターピルを服用すると不妊につながる?
アフターピルを服用することによって不妊になるという科学的根拠はありません。
アフターピルは一時的にホルモンバランスを変化させることで排卵を抑制したり、子宮内膜の状態を変化させたりして妊娠を防ぎます。
しかしその効果は一時的なものであり、体内のホルモンバランスは服用後速やかに元の状態に戻ろうとします。
世界保健機関(WHO)も、アフターピルが将来の妊娠能力や不妊症に影響を与えることはないと結論付けています。
「緊急避妊法に使用されるお薬による将来の妊孕性への影響はありません。また、緊急避妊薬服用後に、妊孕性の回復が遅れることはありません。」(引用:「WHO ファクトシート 緊急避妊法」)
よくある質問
アフターピルに関するよくある質問をまとめました。
アフターピルを服用すると生理不順になる?
なることが多いです。
アフターピルを服用すると一時的にホルモンバランスが乱れるため生理不順のような状態になりがちです。
アフターピル服用後によくある症状は以下4つです。
生理が早まる
生理が遅れる
普段より出血量が多くなる
普段より出血量が少なくなる
しかしこれは一時的なものであり、服用後数ヶ月で元の生理周期に戻ることがほとんどです。
アフターピルの効果が長期間にわたって生理周期に影響を与えることは通常ありません。
アフターピルを飲んだ後に吐いてしまった場合、もう一度服用すべき?
アフターピル服用後、2時間以内に嘔吐してしまった場合は、お薬の成分が十分に吸収されていない可能性が高いためもう一度服用する必要があります。
吐いてしまった場合は速やかに医療機関を受診し、医師に相談してください(処方医に相談するのが望ましいです)。
受診をせず自己判断で追加服用すると過剰摂取になる可能性も0ではありませんので、絶対に避けてください。
アフターピルの副作用で吐き気や頭痛がひどい時の対処法は?
アフターピルの副作用による吐き気や頭痛がひどい場合は、以下の対処法を試してみてください。
【吐き気対策】
吐き気止めを飲む
水分をこまめに補給する(水、お茶、スポーツドリンクなど)
消化に悪いものを食べるのを避ける
【頭痛対策】
頭痛薬を飲む
冷たいタオルなどで額を冷やす
特に吐き気に関しては早めに吐き気止めを服用して、嘔吐を防ぐことが重要です。
症状が重い場合や上記のような対処法でも改善しない場合は迷わず医療機関を受診してください。
アフターピルを飲んだ後、出血するのは正常?いつまで続く?
アフターピル服用後に出血が見られることは比較的よくあり、服用後数日〜1週間程度で治まることがほとんどです。
※WHOの試験でも、16%の女性で生理とは関係なく7日以内に出血がみられている報告があります。
これはアフターピルに含まれるホルモンが体内のホルモンバランスを一時的に変化させることで、子宮内膜が剥がれ落ちる「消退出血」である可能性が高いでしょう。
ただし出血があればどんな場合でも安心というわけではなく、もし次のような症状が見られる場合は注意が必要です。
大量に出血している
出血が異常に長く続く(目安として1週間以上)
激しい腹痛がある
出血の色や量、期間が普段の生理と著しく異なる
これらの症状は子宮外妊娠や他の婦人科系の問題など、緊急避妊薬の服用とは別の原因を示している可能性もあります。
血の量や色、期間に気にして様子を見て、何かおかしいと感じたらすぐに医師に相談することが重要です。
アフターピルを飲んだ後、体調が悪いけど病院に行くべき?
アフターピル服用後の体調不良はほとんどの場合1~2日でおさまるため、病院にいく必要があるケースは少ないです。
しかし以下のような場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
吐き気、頭痛、腹痛などが非常に強く、日常生活に支障をきたす場合
2日以上経っても副作用が改善しない、または悪化する場合
大量の出血・1週間以上続く出血がある場合
判断の目安としては「アフターピル服用後1~2日以上経過しているのに激しい痛みや吐き気が出ている」かどうかです。
少しでも不安を感じたら迷わず医師に相談することが大切です。
医師に「いつアフターピルを服用したか」「どのような症状があるか」などを詳しく伝えるようにしてください。
まとめ
アフターピルの副作用は吐き気や頭痛、不正出血といった副作用は一時的なものがほとんどですが、症状が重い場合や長く続く場合は医療機関への相談が必要です。
また、アフターピル服用後に避妊が成功したかを確認するためには出血の有無だけでなく、妊娠検査薬を正しく使うことが最も確実です。
アフターピル服用後に生理が来なかった場合や体調不良が続く場合は一人で悩まず、早期に医療機関を受診しましょう。

