アフターピルで妊娠する確率は?種類別の避妊率や効果が下がる原因を解説
アフターピルを服用しても、本当に妊娠を防げるのか不安に感じる方は多いでしょう。
「飲んだのに妊娠してしまったらどうしよう」という心配は、緊急時だからこそ強くなるものです。
アフターピルの避妊成功率は、72時間以内の服用で最大97%以上とされており、正しく使用すれば高い効果が期待できます。
一方で、服用のタイミングやお薬の種類、体質によっては効果が下がることもあります。
この記事では、アフターピルで妊娠する確率や種類別の避妊率、効果が下がる原因について詳しく解説します。
正しい知識を身につけて、適切な判断ができるようにしておきましょう。
アフターピルで妊娠する確率はどれくらい?妊娠率・避妊率の目安
アフターピルを正しく服用した場合、妊娠する確率は1〜2%程度とされています。
言い換えれば、避妊率は98〜99%に達するため、高い効果が期待できる緊急避妊法といえます。
ただし、服用のタイミングが遅れるほど避妊効果は低下し、妊娠率は上昇していきます。
WHOのガイドラインでは、72時間以内の服用で最大97%以上の避妊成功率があるとされています。
120時間(5日)を過ぎると効果は急激に減少するため、それ以降の服用は推奨されていません。
アフターピルの効果を最大限に発揮するためには、できるだけ早く服用することが重要です。
アフターピルを72時間以内に服用した場合の避妊率
アフターピルを性交渉後72時間以内に服用した場合、避妊成功率は最大95%以上とされています。
服用が早いほど効果は高まり、24時間以内であれば99%以上、72時間では約97%程度になるとされています。
この数値はWHOのガイドラインやEMA(欧州医薬品庁)の評価レポートに基づいています。
72時間を過ぎても120時間以内であれば一定の効果は期待できますが、時間が経過するほど妊娠率は上昇します。
120時間を超えると効果は急激に低下するため、WHOでは5日以降の服用は推奨されていません。
避妊に失敗した場合は、迷わずできるだけ早く服用することが避妊成功のカギとなります。
アフターピルの種類別|妊娠率と避妊率
アフターピルには複数の種類があり、それぞれ妊娠率と避妊率に違いがあります。
お薬の成分や作用の仕組みが異なるため、効果の持続時間や排卵抑制の強さに差が出るためです。
以下の表で、主な種類ごとの妊娠率と特徴をまとめています。
【アフターピルの種類別妊娠率と特徴】
| 種類 | 有効成分 | 妊娠率 | 有効時間 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ノルレボ・レボノルゲストレル錠 | レボノルゲストレル(LNG) | 約1.3〜2.1% | 72時間以内 | 日本で広く使用されている。国内臨床試験では63人中1人が妊娠(妊娠率約1.6%) |
| エラ(エラワン) | ウリプリスタル酢酸エステル(UPA) | 約1.2% | 120時間以内 | LNGより効果が高いとされる。排卵直前でも効果を発揮しやすい |
レボノルゲストレルは日本国内で最も普及しているアフターピルで、海外の試験では1,198人中16人が妊娠したというデータがあります。
ウリプリスタル酢酸エステル(エラ)は、WHOによると妊娠率1.2%とされ、レボノルゲストレルよりも高い避妊効果が期待できます。
自分の状況に合ったお薬を選ぶためにも、処方を受ける際に医師へ相談してみてください。
失敗談に学ぶ|アフターピル飲んだのに陽性?効果が下がる原因
アフターピルを服用したにもかかわらず、妊娠検査薬で陽性が出てしまうケースは実際に存在します。
アフターピルの避妊成功率は100%ではなく、いくつかの要因によって効果が低下することがあるためです。
この章では、避妊に失敗した方に共通するポイントや、避妊率を下げてしまう条件について解説します。
失敗しないために知っておくべきことを把握しておけば、適切な対応ができるようになるでしょう。
以下で、効果が下がる主な原因を詳しくみていきます。
服用が遅れた
アフターピルの効果が下がる最も大きな原因は、服用のタイミングが遅れることです。
時間が経過するほど排卵が進んでしまい、お薬の効果が及ばなくなる可能性が高まるためです。
レボノルゲストレルは72時間以内、ウリプリスタル(エラ)は120時間以内の服用で効果を発揮します。
WHOのガイドラインでは、120時間を過ぎると効果が急激に減少するため、5日以降の服用は推奨されていません。
レボノルゲストレルは24時間以内の服用であれば99%以上の避妊成功率が期待できますが、120時間を過ぎると63%以下に低下するとされています。
避妊に失敗した場合は、迷っている時間を減らし、できるだけ早く服用することが重要です。
排卵日当日(危険日)/排卵後に飲んだ
排卵日当日や排卵後にアフターピルを服用しても、避妊効果はほとんど期待できません。
アフターピルは主に排卵を遅らせることで妊娠を防ぐ仕組みであり、すでに排卵が起こった後では効果を発揮できないためです。
レボノルゲストレルは排卵前に服用すれば高い効果がありますが、排卵後の服用では受精や着床を直接阻止する効果はありません。
排卵日当日に服用した場合は、すでに排卵が始まっている可能性があるため、避妊効果は大きく低下します。
ウリプリスタル(エラ)は排卵直前のLHサージ期でも約79%の排卵抑制効果があるとされていますが、排卵後の服用では効果は期待できません。
自分の排卵日を正確に把握することは難しいため、避妊に失敗した場合はできるだけ早く服用することが最善の対応となります。
アフターピル服用後に嘔吐した
アフターピルを服用してから2〜3時間以内に嘔吐した場合、お薬の成分が十分に吸収されず効果が低下する可能性があります。
お薬が体内に吸収される前に吐き出されてしまうと、避妊効果が得られないためです。
WHOでは服用後2時間以内、CDC(米国疾病予防管理センター)では3時間以内に嘔吐した場合は追加で服用が必要としています。
下痢についても薬剤の吸収を妨げる可能性がありますが、具体的な時間や程度による影響は明確には示されていません。
激しい下痢が続く場合は、念のため医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
吐き気が心配な方は、処方時に吐き気止めを一緒に処方してもらうと安心です。
BMIが高い・お薬の種類があっていなかった
BMIが高い方は、アフターピルの効果が低下する傾向があることがわかっています。
体重が重いとお薬の血中濃度が十分に上がらず、排卵抑制効果が弱まる可能性があるためです。
研究データによると、緊急避妊薬を服用した肥満女性の妊娠リスクは、正常BMIの女性と比較して3倍以上高かったとされています。
特にBMIが25以上の方では、レボノルゲストレルよりもウリプリスタル(エラ)のほうが効果を維持しやすいという報告があります。
また、72時間を過ぎているのにレボノルゲストレルを選択した場合も、妊娠率が上昇する原因となります。
自分の体格や経過時間に合ったお薬を選ぶためにも、処方時に医師へ相談することが大切です。
アフターピル服用後に再度性交渉があった
アフターピルを服用した後に再び避妊なしで性交渉をすると、新たな妊娠リスクが生じます。
アフターピルは1回の性交渉に対する予防であり、服用後の性行為には効果がないためです。
服用後は排卵のタイミングが予測しにくい状態になっており、数日以内に排卵が起こる可能性もあります。
「一度飲んだから大丈夫」と思い込んで避妊せずに性交渉をしてしまうケースは、失敗談としてよく見られるパターンです。
服用後に性交渉をする場合は、必ずコンドームなどの避妊方法を併用してください。
次の生理が確認できるまでは、慎重な行動を心がけることが重要です。
避妊に失敗しないために|知っておきたい3つの行動ポイント
アフターピルの効果を最大限に発揮するためには、いくつかの重要なポイントをおさえておく必要があります。
服用のタイミングやお薬の選び方によって避妊成功率は大きく変わるためです。
以下の3つの行動ポイントを把握しておけば、妊娠リスクを最小限に抑えることができます。
①できるだけ早く服用する
性交渉後72時間以内の服用で、避妊成功率は最大95%とされています。
時間が経過するほど妊娠率は上昇するため、迷っている時間があれば早めに医療機関へ相談してください。
24時間以内の服用であれば最も高い効果が期待でき、早ければ早いほど安心につながります。
②より避妊効果の高いピルを選ぶ
ウリプリスタル酢酸エステル(エラ)は、排卵直前のタイミングでも効果があるとされています。
妊娠率は1.2%と安定しており、レボノルゲストレルよりも高い避妊効果が期待できます。
BMIが高い方や72時間を過ぎている場合は、エラを選択することで避妊成功率を高められる可能性があります。
③排卵前に飲むことが避妊成功のカギ
アフターピルは排卵を遅らせることで効果を発揮するため、排卵前の服用が最も効果的です。
レボノルゲストレルは排卵直前の効果が薄いとされており、タイミングによっては十分な効果が得られない場合があります。
排卵日を正確に把握することは難しいため、避妊に失敗したらすぐに服用することが最善の対応となります。
アフターピルの基本情報|種類・副作用・将来の妊娠への影響
アフターピルを正しく使用するためには、基本的な情報を把握しておくことが大切です。
お薬の種類による違いや副作用、将来の妊娠への影響について理解しておけば、安心して服用できるようになります。
以下で、アフターピルの基本情報を詳しく解説します。
種類別の違い|ノルレボ・マドンナ・エラ
アフターピルには複数の種類があり、それぞれ有効成分や効果の特徴が異なります。
日本で主に使用されているのはノルレボ(レボノルゲストレル)とエラ(ウリプリスタル酢酸エステル)の2種類です。
ノルレボとマドンナは有効成分が同じレボノルゲストレルであり、性交渉後72時間以内の服用で効果を発揮します。
マドンナはノルレボのジェネリック医薬品にあたるため、効果は同等でありながら価格が抑えられている場合があります。
エラはウリプリスタル酢酸エステルを有効成分としており、120時間以内まで服用可能です。
WHOによるとエラの妊娠率は1.2%とされ、レボノルゲストレルよりも避妊効果が高いとされています。
排卵直前のLHサージ期でも効果を発揮しやすいため、時間が経過している場合や排卵日が近い場合にはエラが適しているでしょう。
アフターピルを服用するなら知っておきたい副作用
アフターピルは基本的に安全なお薬とされていますが、いくつかの副作用が報告されています。
ホルモンバランスに影響を与えるお薬であるため、一時的に体調の変化を感じることがあるためです。
主な副作用としては、吐き気・嘔吐・不正出血・消退出血・頭痛・倦怠感・乳房の張り・下腹部痛などが挙げられます。
これらの症状は通常1〜2日程度でおさまることがほとんどです。
ただし、服用後2〜3時間以内に嘔吐してしまった場合は、お薬が十分に吸収されていない可能性があります。
嘔吐があった場合は再服用が必要になることもあるため、処方元の医療機関に連絡して指示を仰いでください。
アフターピルを飲むと不妊に繋がる?
アフターピルを服用しても、将来の妊娠能力に悪影響を与えることはありません。
緊急避妊薬は一時的にホルモンバランスに作用するお薬であり、長期的な影響を及ぼすものではないためです。
WHOの見解によると、緊急避妊薬を服用した後に妊娠能力の回復が遅れることはないとされています。
「アフターピルを飲むと不妊になる」という情報は誤解であり、医学的な根拠はありません。
複数回服用した場合でも、将来の妊娠に影響することはないと考えられています。
ただし、アフターピルは緊急時のためのお薬であり、日常的な避妊方法として使用するものではない点を理解しておいてください。
アフターピルの値段と購入方法
アフターピルの値段は1万円前後が相場であり、保険適用外の自由診療となります。
避妊目的で使用されるお薬のため、病気の治療とはみなされず全額自己負担となるためです。
アフターピルは一般的なドラッグストアでは購入できず、原則として医師による処方が必要です。
入手方法としては、対面での診察を受けるか、オンライン診療を利用する方法があります。
オンライン診療であれば自宅から受診でき、処方後はお薬が配送される仕組みです。
また、一部の調剤薬局では試験販売が行われており、処方箋なしで購入できる場合もあります。
ただし、薬局での購入には条件があり、16歳以上の女性が対象となっています。
16〜17歳の方は保護者の同伴と同意が必要であり、事前に薬局への問い合わせやアンケートへの回答、調査研究への参加同意が求められます。
現状ではあくまで試験販売であり、対象店舗は限られているため、詳しくは日本薬剤師会のホームページで確認してください。
アフターピルに関するよくある質問
アフターピルの避妊効果や妊娠確率について、多くの方が疑問を抱えています。
ここでは、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
アフターピルの失敗・成功確率は?
アフターピルの避妊成功率は、72時間以内の服用で最大97%以上とされています。
24時間以内であれば99%以上、48〜72時間では約97%程度の成功率が期待できます。
失敗する確率は1〜2%程度ですが、服用が遅れるほど妊娠率は上昇します。
できるだけ早く服用することが、避妊成功のカギとなります。
アフターピルは避妊にほぼ確実ですか?
アフターピルは高い避妊効果が期待できますが、100%確実ではありません。
正しいタイミングで服用すれば98〜99%の確率で避妊に成功するとされています。
ただし、服用が遅れた場合や排卵後に服用した場合、嘔吐でお薬が吸収されなかった場合などは効果が低下します。
「飲めば絶対に大丈夫」とは考えず、服用後も妊娠検査薬で確認することをおすすめします。
アフターピルで妊娠する確率は?
アフターピルを正しく服用した場合の妊娠率は、1〜2%程度です。
レボノルゲストレルの妊娠率は約1.3〜2.1%、ウリプリスタル酢酸エステル(エラ)の妊娠率は約1.2%とされています。
お薬の種類や服用のタイミングによって妊娠率は変動するため、早めの服用と適切なお薬の選択が重要です。
不安がある場合は、性行為から3週間後に妊娠検査薬で確認してください。
まとめ|正しい知識と行動で妊娠リスクを減らそう
アフターピルは、正しく服用すれば高い避妊効果が期待できる緊急避妊薬です。
72時間以内の服用で最大97%以上の避妊成功率があり、妊娠率は1〜2%程度とされています。
レボノルゲストレルは72時間以内、ウリプリスタル酢酸エステル(エラ)は120時間以内の服用で効果を発揮しますが、早く飲むほど避妊成功率は高まります。
一方で、服用の遅れ・排卵後の服用・嘔吐による吸収不良・BMIの影響・服用後の無防備な性交渉などは、効果を低下させる原因となります。
避妊に失敗しないためには、できるだけ早く服用すること、自分に合ったお薬を選ぶこと、服用後も避妊を徹底することが大切です。
アフターピルは将来の妊娠能力に悪影響を与えることはないため、必要なときは安心して使用してください。
避妊が成功したかどうかは、性行為から3週間後に妊娠検査薬で確認できます。
不安が続く場合は一人で抱え込まず、医療機関に相談することをおすすめします。

